Tretti og noe (30代と何か)
詩:Håvard Rem 訳:Tomoko

朝、彼は朝食をとる
70歳の母と共に
彼女は来るべき時を示し
過ぎ去った時を語る。
そして、食卓を片付け、彼がたずねると微笑む。
彼女は言う。
30歳から40歳までが、人生で一番良い時期だったと。

昼間、彼はコーヒーを飲む。
友人、そして同僚が最近本を出したことを語る専門家と。
40代になったら、
この頭の中に広がる不安は安心へと変わるだろう。

夜、彼の腕を枕に休む者がいる
窓枠の氷に、月がキラキラと輝き
そして、深淵の向こうへと過ぎ去ってゆく。
彼は知っている。
彼らが時の流れから去るときは、彼女の元が一番安心できることを。

深夜、彼は海の生き物になる。
彼は弱くも、悲しくもなく
過去も未来も、ただの色。
若い頃は楽しかった。
本と口ひげを携えて、孫と一緒にいる未来も楽しみだ。
けれど、過去と未来の狭間は、全てが青く、全てが黒い。